Azoop Tech Blogをはじめました

はじめまして、Azoop CTOの庄司です。

私たちAzoopは経済の血流とも言われる運送業にフォーカスし、利益最大化、業務効率化を実現するプラットフォーム(トラッカーズ、トラッカーズマネージャー)を開発しているスタートアップです。

このAzoop Tech Blogでは、社内で日々取り組んでいる開発技術、技術組織として取り組んだ施策はもちろんのこと、UI/UX 、プロジェクトマネジメントなど、プロダクト開発な話をバラエティ豊かに発信してゆくことを目指します。

なぜブログを書くのか?

ブログを始める目的は下記の通りです。

  • Azoopという会社の存在をより多くの方に知っていただきたい
  • Azoopに興味いただいた方に我々のプロダクト開発組織がどんな感じなのか知っていただきたい
  • 執筆者・プロダクト開発組織の成長
  • コミュニティへの恩返しをしていきたい
  • あわよくば読者の皆様にAzoopの仲間になっていただきたい

いずれも大事な目的ですが、個人的には『執筆者・プロダクト開発組織の成長』を促す機会として、ブログが楽しく使われるようにしていきたいと考えています。

我々ソフトウェアエンジニアとって成長とは何か? もちろん技術力向上は必須でしょう。 私は技術力と同等に『主張を伝える力』を高めることも非常に大切と考えます。

企業におけるソフトウェア開発はチーム戦が基本で、コミュニケーションは欠かせないからです。
ソフトウェアの規模が小さいときは関係者が同じ目線でソフトウェア、プロダクトを把握できるのでツーカーで伝わったりします。
ところが、規模が拡大するにつれて全てを理解することが困難になってゆくため、徐々に関心の分業が進みます。

業務において何か施策を動かすときには否が応でも関係者が増えますし、その関係者は自分が知っていることを100%共有していません。

そんな状況下で、自身が向き合っている技術的な課題を他のメンバーに正しく理解してもらったり、自身が思う課題に対する打ち手のメリット・デメリット、そのうちの最善手を理解してもらった上で議論をスタートしたり、自ら考えたアプリケーション開発におけるガイドラインを理解して実践してもらったり、自分の主張を誰かに伝えなければいけない機会はたくさんあります。

業務の視野を広げれば社内に留まらず、仕事の一環として勉強会やカンファレンスのトーク、LTなどで登壇したり、登壇用のスライドを作成して公開したりすることもあるでしょう。

さらに個人的な活動にまで範囲を広げれば、先の登壇に加えて、自分のブログで技術話を書いたり、Zennで本を執筆したり、同人誌を技術書典で頒布したり、ポッドキャストで自分が思う最強のアプリケーション設計の話をしたり、Youtubeで最新の機械学習の事例を解説する動画を投稿したり、など何かしらの形で発信する機会があるでしょう。

発信を意識すると、学習のループが周りやすくなり、同時にループの質も高まります。結果的に技術力の向上にも寄与すると思っています。

そんなわけで、新しく発見した技術でテンションが上がったこと、苦労して取り組んだ問題をなんとか解決した武勇伝、技術組織を運営する中で自分自身に起きた変化の話、などなど、内容の大小問わず私たちが共有したい話を読んでくださる方に伝わるよう、独りよがりにならずに書いていきたいです。

その結果、Azoopの存在やAzoopが目指すこと、プロダクトや関わるメンバーを知っていただいたり、コミュニティに対して貢献していたり、Azoopの仲間が増えたりしたら嬉しいです。

技術的負債と送りコード🙏

Azoopのエンジニアチームとして、成長するための催し物をいくつか行なっています。 今回はその内の1つである『送りコード』を紹介します。

アプリケーション開発を進めてゆくと規模の大小問わず負の遺産が生まれます。 意思決定のタイミングでベストな選択をしたとしてもです。 外部環境、事業モデルの変化は大小絶えず起きており、インフラ構成、アプリケーション設計や、アルゴリズムの選択といった技術的な意思決定と環境変化との乖離が大きくなってゆきます。 乖離の果てに顕在化した負の遺産は技術的負債と呼ばれております。

我々エンジニアにとってはアプリケーションに限らず、各種メディアで見聞きする親しみある存在です。

技術負債的とは具体的には下記のようなものです。

  • レガシーコード: 古くなったコードのことで、現在の技術にあっていないものを指します。
  • テスト不足: コードの品質を維持するためには、テストコードを書く必要がありますが、テストコードを書くことが面倒であるため、テスト不足になることがあります。
  • 冗長なコード: コードが重複していたり、不必要な部分があることを指します。
  • 安全性の欠如: セキュリティに問題があるコードや、不正アクセスが可能なコードなど、安全性に問題があるものを指します。
  • 複雑性の高いコード: コードが複雑で、保守性が低いものを指します。
  • ドキュメントの不足: コードがどのように動作するかを説明するドキュメントが不足していたり、存在しないことを指します。

これらを放っておくと、意図した変化が困難なアプリケーションになります。

意図した変化が困難なアプリケーションは、意図しない変化が容易なアプリケーションとも言えます。 意図しない変更が忍び込みやすいアプリケーション壊れやすいです。 その脆さに細心の注意を払ってコーディングするため、顧客へ新しい価値を提供するまでに時間がかかります。新しい価値が毎度ホームランだったら良いのですが、残念ながらそんなことはありません。

変化できないプロダクトは市場から求められないでしょうし、運良くヒットしていたとしても、あっという間に競合他社に飲み込まれるでしょう。

技術的負債って怖いですね。

日々の開発を進める中で技術的負債を返済し、新たに借りないことが理想です。 ただ、そうは問屋が卸さないのは皆さんご存知の通りかと思います。

ChatGPTに技術的負債の返済が難しい理由を尋ねてみました。

技術負債の返済が難しいのは、以下のような理由があります。

  • プロダクトの成長に伴い、コードの規模が大きくなるため、コードの把握が困難になることがある。
  • 開発メンバーが入れ替わることで、コードの担当者が変わり、コードの把握が困難になることがある。
  • プロダクトの仕様変更があると、それに応じてコードの修正が必要になるが、修正が面倒であるため、修正を先送りにすることがある。
  • 開発メンバーが急いでコードを書いたり、急いで修正したりすることがあるため、コードの品質が低くなることがある。
  • コードの品質を維持するためには、テストコードを書く必要があるが、テストコードを書くことが面倒であるため、テストコードを書かないことがある。

以上のような理由から、技術負債の返済は難しくなることがあります。

そういうことなんです。

返済が大事なことは分かっていても、プロダクトの事情や、コードの事情など複数の要因が絡んだ結果、先送りにされがちになります。 なかなか返済できない負債をどのように返してゆくか。 個人の心意気に任せるだけでなく、チームとして確実に返済に取り組んでいきたい。 その取り組み1つとして始めたのが『送りコード』です。

送りコードは、エンジニアメンバー全員が普段の業務から離れて技術的負債を解消に集中する2日間です。

『個々人が思うイイカンジの送りコードをやろう!』は基本ではあるのですが、これだけだと進行する上で迷いがでるかなと思い、妨げにならないようにガイドラインを作りました。 一方でガチガチに中身を作り込むのもシンドいので、下記のゆるいガイドラインに従ってやってみることにしました。

  • 送りコード前日までに解決したい課題を洗い出しておく
  • 2日間で何らかの成果物を出す
    • 成果物の例
      • リファクタリングした差分のプルリクエストを作る
      • 技術的負債の全貌を調査した結果や、技術的負債の返済計画などをドキュメントにまとめる
  • 最終日に成果物の発表をする

ちなみに、送りコードという名称は、お盆に迎えた先祖様の霊を送り出すために火を焚く『送り火』が由来になっています。 これに倣って送りコードでは、プロダクト成長に貢献してくれた技術的負債を供養し送り出しているというわけです。

送りコード当日。メンバー各々が日頃感じていた負債が持ち込まれ送られていきました🙏

などなど...バラエティを感じるラインナップでした。

私はアプリケーションに存在するコードで呼び出されてないもの、いわゆるデットコードの削除に取り組みました。

発表会は大きな会議で飲食(エンジニアなのでピザ)しながら発表を聞くスタイル。

カジュアルな感じでやってみました。

送りコードの様子

実際やってみてどうだったか?

開催後にKPT法(良かったこと、課題と感じたこと、次回トライしたいこと、この3つの観点で振り返る手法)で振り返りをしました。

良かったこと

参加者全員が、技術的負債を返済する機会として有用だった、開催頻度を増やしても良い、と感じてもらえました。

課題と感じたこと

送りコードの意義についてポジティブな意見があった反面、実際の運用面でいくつか課題点が指摘されました。

例えば、2日間で成果物を作りつつ、発表準備も行おうとすると実際の作業時間が思ったより短かったという指摘。シンプルに作業時間の短いことに加えて、発表構成などを個々にお任せしていたため、資料作りで時間を使ってしまったという指摘もありました。

また、発表に関する質疑応答、議論の時間が短かいという指摘も挙がりました。

次回トライしたいこと

良かったこと、課題と感じたことをふまえて次回トライしたいこと決めました。

  • 送りコードをもっとやろう!
    • 開催当初は半年に1回くらいで良いかなと思っていたのですが、実際に返済してみると他にも色々改善できそうな点が見つかったことや、技術的負債の返済をチームの文化としてより浸透させてゆくために、開催頻度を3ヶ月に1回に変更しました。
  • 日々の開発でリファクタリングできそうな箇所を見つけたら、送りコード用のチケットを作成しよう
    • 送りコード開催日にはリファクタするべき箇所のデッキが完成してるので開催日前に「なにやろうか…うーん」と悩まずスムーズに送りコードに臨めます
  • 発表のフォーマットを作ろう
    • 発表内容に何を盛り込めば良いか分かるので、資料作りで困りません
  • 発表時間と質疑応答の枠を作って、タイムキーピングやろう
    • 質疑応答の時間を増やしつつ、オンスケジュールで会を終わらせます

感想

送りコードで実際に技術的負債が返済されただけでなく、日々の開発に取り組む中でリファクタリング用チケットを作成したりと、開発メンバーがリファクタリングと向き合える一助になったのかなと思います。 リファクタリングが日常に溶け込んで、送りコードを送れる日を迎えられるようにやっていきたいです💪

おわりに

今回はこのAzoop Tech Blogをはじめた目的と、チームとして成長するための取り組みである『送りコード』を紹介しました。 Azoopメンバーの日々の活動を通じて得たナレッジを肩肘張らず発信していければと思います😄